EXHIBITIONS

木村太陽 ペインティング&立体

木村太陽 Levitation 2020

 木村太陽は、何気ない日常のなかで出会う些細な違和感や、存在意識に隠れる感覚を独自のユニークな手法で作品化するアーティスト。ギャルリー東京ユマニテで開催される本展は、5年ぶりの新作個展となる。

 木村は1970年神奈川県鎌倉市生まれ、95年創形美術学校研究科卒業。99年に五島記念文化財団最優秀賞を受賞。2002年にポーラ美術振興財団海外研修プログラムでドイツに、13年にはアジアン・カルチュラル・カウンシル個人助成でニューヨークに滞在し、ヨーロッパやアメリカなど国内外で活動してきた。

 可愛らしい白クマのぬいぐるみから聞こえる怪しげな笑い声、整然と並んだ牛乳パックの中には満員電車さながらの人たち、ページをめくったファッション誌から覗くおびただしい女性の視線。木村はこうしたモチーフを、立体やインスタレーション、映像と多様なメディアを駆使して表現してきた。

 一見、シュールでブラックユーモアのような印象を受けるその表現からは、知らず知らずのうちに身体の隅々にこびりついた習慣や感覚が表出され、拒否反応とともに見る者の深層心理をあぶり出す。

 本展では、ペインティング、ドローイングのほか、レリーフなどの立体作品の新作で構成。様々な価値観や慣習が見直されているいま、木村の作品が新たな問題意識を起こさせるかもしれない。