EXHIBITIONS

臼井良平展「Solid, State, Survivor」

臼井良平 glass 2020 Courtesy of the artist and MUJIN-TO Production

 無人島プロダクションは緊急事態宣言解除後の展覧会第1弾として、臼井良平の個展「Solid, State, Survivor」を開催する。

 臼井は1983年静岡県生まれ。身近にあるものを組み合わせ、すでに存在するものの「見方」を変える作品を発表。2012年からはガラスによる連作「PET(Portrait of Encountered Things)」を手がけ、街中にぽつりと放置された容器の存在に、街に生きる人々の姿を重ね合わせた、一種の「現代の肖像」として提示している。

 本展の重要なモチーフとなるのは、波に揉まれ角がとれ、河口や海岸などに漂着したガラス片「シーグラス」。元段ボール工場を改装したギャラリーのなかでシーグラスは、川と、川を流れ下る漂流物の関係性を象徴するように扱われ、シーグラスのイメージを含めたガラス製の容器による新作インスタレーションでは、人間の営みからこぼれ落ちたモチーフが川面を漂うさまと、街中に遺棄されたプラスチックボトルのある風景とが織り交ざるようにして展開される。

 展覧会タイトル「Solid(個体の)」「State(状態の)」「Survivor(生還者)」について、Solid stateとは本来は電子機器などを指すものだが、それぞれの単語を個別の意味に分解して並べると、小さな欠片となったシーグラスを現す言葉としてこれ以上ない組み合わせのように感じられたと言う臼井。様々ものを飲み込みながら流れ着いた先に現れるシーグラスの存在は、ガラスでかたちづくられた漂流物の将来的な姿を思わせ、「個体の、状態の、生還者」として、それでもなお存在感を放つ。

 今回の新作インスタレーションで示すのは、決してきれいとは呼べない都会の河川の流れのなかで、漂流物が流れ下っていくさま。例えば、昨今の新型コロナウイルス感染症が蔓延する環境下のような、任意の環境のなかで生きていかねばならない生活者の境遇をガラスの容器に重ね、これまでの作品とは異なる新たな肖像を見せる。

 人々が、自然の脅威が人間のコントロールから外れたところにあるという事実に気づいたいま、ウイルスや災害と共存し、個体としてどう生き長らえるのか。強さと脆さ、相反する性質を持つガラスの存在に人間の姿を投影した臼井の新作は、かたちがどのように変わっても未来に残っていく物質の運命と生について考えるきっかけとなるだろう。