EXHIBITIONS

鬼海弘雄作品展「王たちの肖像」

2020.06.30 - 08.02

鬼海弘雄 大工(Carpenter) 1985

 浅草寺境内の朱塗りの壁を背景に撮り続けたポートレイトや、東京の街を独自の視点でとらえた作品など、国内外で高い評価を受ける写真家・鬼海弘雄(きかい・ひろお)の作品展「王たちの肖像」が開催される。

 鬼海は1945年山形県生まれ。法政大学文学部哲学科で哲学者・福田定良に師事。卒業後、トラック運転手や造船所工員、 遠洋マグロ船乗員などの仕事をするうちに写真に出会い、73年にドイ・テクニカルフォトの暗室マンとなる。その後も写真を撮りながらビルメンテナンスや自動車工場の仕事に従事し、81年に東南アジアを放浪の後、84年にフリーランスの写真家としてのキャリアをスタートさせる。

 94年には武蔵野美術大学映像科講師に就任。主な作品集に、『王たちの肖像』(矢立出版、1987、日本写真協会賞新人賞/伊奈信男賞)、『INDIA』(みすず書房、1992、「写真の会」賞)、『東京迷路』(小学館、1999)、『PERSONA』(草思社、2003/土門拳賞、日本写真協会賞年度賞)などがある。

 本展では、鬼海が70年代に撮影したポートレイトの作品集『王たちの肖像 浅草寺境内』(1987)の収録作を中心に、モノクロ作品41点を展示。40年以上の長い間、同じ場所で出会う人物を敬意と共感をもって撮影されたポートレイトは、被写体各々の個性のなかに人生が浮かび上がり、生きることの深淵を語りかけてくる。