EXHIBITIONS

齊藤智史「ヒビキ」

2020.06.12 - 06.21

齊藤智史 △(「シン」シリーズより) 2020

 人物などをモチーフに、懐かしさと愛着を感じさせる作品を手がける彫刻家・齊藤智史の個展がs+artsで開催される。

 齊藤は1982年長野県生まれ。2006年東京造形大学造形学部彫刻専攻卒業。楠(くすのき)を用いてフォルムを形成し、日本画に使われる顔料や灰などで着彩をしながら、人の記憶に残る曖昧で懐かしい感覚を具現化している。近年はアジア圏を中心に人気を集めており、今後もさらなる活躍が期待される作家のひとりだ。

「私のなかに内在する記憶と懐かしさとは、幼い頃初めて遭遇する人や動植物、あるいはある場所や場面との出会い、関係、対話など、過去にあった五感を刺激する新鮮な感動である」と語る齊藤。鮮明な感覚がやがて曖昧になり、時折その曖昧な感覚がはっきりと感じられるとき、懐かしさと様々な感情が鮮やかな色彩とともに目覚めると言う。

 本展では、新しい色味の着彩や、穏やかな表情の偶像と抽象立体をかけ合わせたような印象を持つ作品、また、ひとつの場面を彷彿させるような配置方法など、新たな表現に挑む齊藤の新作群を展示する。