EXHIBITIONS

ジャンボスズキ「むこう岸へ」

2020.06.12 - 07.11

ジャンボスズキ 不淫 2020

 大胆な構図や鮮やかな色彩、非現実的なモチーフの組み合わせた作品を発表してきたペインター・ジャンボスズキの個展がSNOW Contemporaryで開催される。

 1980年生まれのジャンボスズキは、2007年名古屋造形大学美術学科卒業後、「VOCA展」(上野の森美術館、2008)、「TDW-ART ジャラパゴス展」(Tokyo Designers Week、明治神宮外苑絵画館前、2010)、「Art in an Office」(豊田市美術館、2011)、「魚の骨」(AKIBA TAMABI、2015)など、数々のグループ展に出品し、着実に力をつけてきた。

 制作においては描く作品の構図を決めず、その時々で浮かぶ事物や記憶、感覚をたどりながらイメージを繋げていく独自の制作プロセスを展開。その結果、ジャンボスズキの作品には、雷や天狗、エアマット、タイル貼りの風呂釜など、物質的・空間的・時間的に何ら関係性を持たないイメージが共存し、容易には読み取ることができない不可思議な魅力を鑑賞者に与える。

 本展タイトルの「むこう岸へ」とは、彼岸(あの世)と此岸(この世)を暗示したもの。ジャンボスズキの作品には度々、棺やロウソクなど生と死の境界線を想起させるイメージが登場するが、今回の新作群はこれまでの抽象度の高い作風とは異なり、よりリアルな暗示を含む。そして画面は背徳性や残忍性を孕むと同時に、どこかユーモラスで不条理な世界が共存する。

 新型コロナウイルスの感染拡大によって世界のあり方が根本的に見直されるなか、本展はあらゆるものの「むこう岸」を想像することを強く喚起する展覧会となるだろう。