EXHIBITIONS

上床加奈「Rebuild」

TRiCERA Museum
2020.06.06 - 06.27

上床加奈 犬神 参 2020 Copyright the artist Courtesy of TRiCERA, Inc.

 鹿児島県出身で、現在も同地を拠点に活動するペインター・上床加奈の個展が開催される。

 上床は1995年生まれ。2016年日本デザイナー学院九州校イラストレーション科を卒業。同年に「independent TAGBOAT ART FES 2016」に参加し、活動をスタート。寺社の建築装飾をはじめとした宗教美術、江戸絵画や浮世絵に現れる構図や色彩を手掛かりに、日本の造形文化に通底する美意識を探求し、それを妖怪や空想的生物をモチーフとした絵画によって表現してきた。

 上床は、妖怪たちは文献に則ったものに限らず、妖怪という風土的なイマジネーションの営みを現代に受け継ぎ、かつ拡張させることで自身が創作したものも作品に登場させている。また上床のペインティングは、寺社装飾など日本の空想的概念や美意識をバックグラウンドに、その方法と形式の系譜をイラストレーションの分野に負う。キャラクタライズされビジョナリーに描かれた図画は、余白の分量など極度の緻密性を作品に与え、ひとつの画面世界におけるイメージの分散を許さない繊細な構図を保つ。

 3年ぶりの個展となる本展の中心となるのは、これまで上床が手がけてきた寺社建築の色彩性や妖怪や空想的生物をモチーフにした作品群。また対幅となる掛け軸状や横長の巻物を模した形態を表現に用い、日本絵画においてなされてきた画面における時間性や空間性を作品に導入することで、日本の絵画形態に言及する。

 これらに屏風状の作品を含めたペインティングを加えて発表。日本文化を再考し、現代の平易なカルチャーの視点を盛り込むことでそれを再構築してみせる上床の作品群は、その発見と吟味の機会を提示するだろう。日本の造形にまつわる上床の視覚的な探究の冒険を楽しみたい。