EXHIBITIONS
ヤン・ヴォー ーォヴ・ンヤ
世界で注目を集めているアーティストのひとり、ヤン・ヴォーが日本の美術館では初となる個展を開催する。
ヤンは1975年ベトナム・バリア生まれ。4歳のときに父の手製のボートに乗り、一族でベトナムを脱出。デンマークの貨物船に助けられ、シンガポールの難民キャンプを経てデンマークに定住する。コペンハーゲン王立美術学校、フランクフルトのシュテーデル美術学校を卒業し、現在はメキシコ・シティを拠点に活動。ベルリンにもスタジオを持ち、ノマド的スタイルで制作を続けている。
教師、父親、恋人、ミューズである甥にまつわる作品。ヴォーに絵画を学ぶことを止めるようアドバイスしたピーター・ボンデによる、ミラー・フォイル上に描かれた抽象絵画。ヴォーは自身の経験、家族の歴史、社会的あるいは政治的な歴史に彩られたレディ・メイド、写真や手紙などの蒐集品、また自身の周辺の大切な人たちの手によるものを取り込みながら作品化する。それらの作品には、アイデンティティ、権力、歴史、覇権主義、エロティシズムといったテーマが直接的あるいは比喩的にあらわれ、見る者にひとつの事物に対して異なる角度からの視線を持つことを誘う。
2011年制作の《セントラル・ロトンダ /ウィンター・ガーデン》は、ヤン一家の祖国からの脱出を背景に、19世紀末につくられたシャンデリアを使った作品。1973年、このシャンデリアが吊るされていた建物の中でベトナム和平に関するパリ和平協定が調印され、べトナム戦争の終戦が宣言された。2009年、カディスト・アート・ファウンデーション(パリ)でのレジデンス中にヴォーは父とともにこの場所を訪れ、関係者と交渉してシャンデリアを入手。同作品のように、ヴォーは個人の記憶と集団の歴史を紡ぎ出し、また文脈によってすでに獲得された対象物の意味がどのように変化するのかを探求している。
近年では、コラボレーターでもある父親が記したカリグラフィー作品や、恋人のハインツ・ピーター・クネスがヴォーのミューズであり甥のグスタフを撮影した写真、ヴォーにとって極めて重要な人々による作品を再構成し発表。その作品群を通じて、鑑賞者はヴォーの姿が浮かび上がることに気づかされる。
本展は、ヴォーの師、父親、 恋人、ミューズであるヴォーの甥など、作家の周囲の大切な人たちによる作品や、ベトナム戦争を押し進めた米国防長官R.マクナマラの遺族との協働による作品など新作、近作を含め約40余点の作品を展示。ヴォーの卓越した選択眼、組み合わせの妙で丹念に考え抜かれた展示空間への作品配置も見どころのひとつとなる。
ヤンは1975年ベトナム・バリア生まれ。4歳のときに父の手製のボートに乗り、一族でベトナムを脱出。デンマークの貨物船に助けられ、シンガポールの難民キャンプを経てデンマークに定住する。コペンハーゲン王立美術学校、フランクフルトのシュテーデル美術学校を卒業し、現在はメキシコ・シティを拠点に活動。ベルリンにもスタジオを持ち、ノマド的スタイルで制作を続けている。
教師、父親、恋人、ミューズである甥にまつわる作品。ヴォーに絵画を学ぶことを止めるようアドバイスしたピーター・ボンデによる、ミラー・フォイル上に描かれた抽象絵画。ヴォーは自身の経験、家族の歴史、社会的あるいは政治的な歴史に彩られたレディ・メイド、写真や手紙などの蒐集品、また自身の周辺の大切な人たちの手によるものを取り込みながら作品化する。それらの作品には、アイデンティティ、権力、歴史、覇権主義、エロティシズムといったテーマが直接的あるいは比喩的にあらわれ、見る者にひとつの事物に対して異なる角度からの視線を持つことを誘う。
2011年制作の《セントラル・ロトンダ /ウィンター・ガーデン》は、ヤン一家の祖国からの脱出を背景に、19世紀末につくられたシャンデリアを使った作品。1973年、このシャンデリアが吊るされていた建物の中でベトナム和平に関するパリ和平協定が調印され、べトナム戦争の終戦が宣言された。2009年、カディスト・アート・ファウンデーション(パリ)でのレジデンス中にヴォーは父とともにこの場所を訪れ、関係者と交渉してシャンデリアを入手。同作品のように、ヴォーは個人の記憶と集団の歴史を紡ぎ出し、また文脈によってすでに獲得された対象物の意味がどのように変化するのかを探求している。
近年では、コラボレーターでもある父親が記したカリグラフィー作品や、恋人のハインツ・ピーター・クネスがヴォーのミューズであり甥のグスタフを撮影した写真、ヴォーにとって極めて重要な人々による作品を再構成し発表。その作品群を通じて、鑑賞者はヴォーの姿が浮かび上がることに気づかされる。
本展は、ヴォーの師、父親、 恋人、ミューズであるヴォーの甥など、作家の周囲の大切な人たちによる作品や、ベトナム戦争を押し進めた米国防長官R.マクナマラの遺族との協働による作品など新作、近作を含め約40余点の作品を展示。ヴォーの卓越した選択眼、組み合わせの妙で丹念に考え抜かれた展示空間への作品配置も見どころのひとつとなる。