EXHIBITIONS

アカシアの記録 長沢明 展

日本橋髙島屋S.C.本館6階 美術画廊X
2020.06.03 - 06.22

長沢明 ハジマリノ雫(部分) 2020

 日本画を出発点に国内外で活動する気鋭の画家・長沢明の、東京では7年ぶりとなる個展が開催される。

 長沢は1967年新潟市生まれ。94年東京藝術大学大学院日本画専攻を修了後、ニューヨーク研修や英国留学で、欧米の近現代美術や美術論法にも直に触れる体験をする。2003年頃から、壁画のような画面でトラなどの動物を原始的な造形としてダイナミックに描く作品を発表し、高い評価を得てきた。

 長沢作品の特徴のひとつは、パネルに寒冷紗を張り、石膏や土を塗り込み、風化した壁のような支持体。そこに重ねた絵具を削りながら、かたちを画面に「刻印(記録)」していく。生と死をテーマとした作品に用いられるモチーフのトラは私たちの似姿、クジラは抗えない大きな存在への畏怖、そしてトリは自由と未来を先導するものの象徴として表現されている。

 個展タイトルの「アカシアの記録(Akashic Records)」は、この世の創生からのすべての事象、想念が記録されている世界記憶の概念のこと。本展では、大作から小品の絵画作品のほか、「本」そのものを土で封じ込めた「土本」シリーズの新作も発表する。