EXHIBITIONS

栗本夏樹 笹井史恵 井川健 -チャレンジ- 漆造形三人展

2020.04.04 - 06.26

栗本夏樹 宙 2020

笹井史恵 日輪 2020

井川健 転生 2020

 現代美術 艸居では、栗本夏樹、笹井史恵(ふみえ)、井川健(たけし)による三人展を開催している。2015年に同ギャラリーで開催された「うるしの造形」展に引き続き、つねに現代における漆の新たな可能性を模索しつづけてきた漆芸作家たちの2度目の三人展となる。

 栗本は1961年大阪府生まれ、87年京都市立芸術大学大学院美術研究科漆工専攻修了。生きた木の樹液を採取して素材とする漆芸の根本に着目し、「漆・いのちの再生」をテーマとして作品を制作。ダンボール紙や紙管、流木、倒木、ひょうたんなどに漆を施すことで、本来の用途とは異なる新たな生命を吹き込んできた。

 笹井は1973年大阪府生まれ。98年京都市立芸術大学大学院美術研究科漆工専攻修了。花や果実、子供などをモチーフに、表面の質感や手ざわりのよさという漆の魅力が視覚的に味わえるような、独特の丸みを帯びたフォルムが特徴の作品を手がけてきた。また2014年頃からは、着物のかさねや結びから着想を得て、柔らかい漆の質感と稜線の連なりが美しい作品も発表している。

 井川は1980年兵庫県生まれ。2009年京都市立芸術大学大学院美術研究科博士(後期)課程修了。漆の塗りのみによる表現を大きなテーマとして掲げ、下地を施し研ぎ澄ました面とは対極にあるような、凹凸のある表面をつくることを試みている。

 本展は「チャレンジ」と題した通り、漆の造形における三者三様の飽くなき探求と新たな展開を見せる。

 栗本は螺鈿、乾漆、蒔絵などの伝統技法を用いつつ斬新な立体造形で新たな漆の可能性を提示し、笹井は新たなモチーフとして着目している「月」「太陽」を取り上げ、溜塗の透けや⻘、緑の漆を活かすことに挑戦。近年、ヤシの葉柄を素地の素材として用いる井川は、これまであまり活用してこなかった葉柄のつけ根部分を使うことに挑み、起伏に富んだ複雑な局面を持つ作品を発表する。