EXHIBITIONS

開館20周年記念アートラボ

黒蕨壮 彫刻展 刻まれたリアリティ

黒蕨壮 チョット休憩 1985 鹿児島県霧島アートの森蔵

黒蕨壮 あの手・この手 2009-2010 撮影=福岡栄

黒蕨壮 草食男子(クワガタ) 2016 撮影=福岡栄

 人体の一部や、脱ぎ捨てられた衣服などをモチーフに木彫作品を手がける彫刻家・黒蕨壮(くろわらび・そう)の個展が開催される。

 黒蕨は1951年鹿児島県阿久根市生まれ。84年、彫刻家・堀内正和に師事し、第1回現代日本木彫フェスティバル(1988)、木の造形旭川大賞展(1996)で大賞。2015年に、日本を代表する彫刻賞である平櫛田中賞を受賞した。

 これまで個展やグループ展で多数作品を発表し、主なパブリックコレクションに、北海道立旭川美術館、網走市立美術館、神奈川県立近代美術館など。2004年より、鹿児島県湧水町のイベント「高原フェスタチェンソーアート」の講師・審査・作品制作に参加し、彫刻の普及にも多大な貢献をしている。

 幼少期から木彫に慣れ親しみ、コンピュータ技師として働く傍らで木彫を続け、ほぼ独学で現在のスタイルを確立した黒蕨。日用品や人体の一部によって自身の思念を表した作品は、モチーフの素材感をも写し取るような精巧さで、社会への問いかけや人の心のあり様について見る者に語りかける。

 本展では、鹿児島県霧島アートの森の屋内に所蔵される作品のなかでも、来館者にとくに関心の高い《チョット休憩》(1985)を含む初期の作品から新作まで約30点を公開する。