キューガーデン 英国王室が愛した花々

　イギリスのキューガーデンは、ユネスコ世界遺産にも登録されている世界最大級の植物園。本展では、キューガーデンが所蔵する20万点におよぶボタニカルアートより作品約100点を展示する。

　ボタニカルアートとは、植物を科学的かつ芸術的な視点から描いたもの。18世紀大英帝国の貿易拡大と植民地獲得による繁栄とともに、啓蒙思想や科学技術を背景として近代植物学が飛躍的に発展し、世界各地の植物を調査する過程で多くのボタニカルアートが生まれた。

　植物研究とともに長い歴史を培ってきたボタニカルアートは、科学的な視点からの再現性が最重視された。そして近代に近づくにつれて、画家たちが植物のもつみずみずしい生命力までも描きとめようするなど、科学の範疇にはおさまらない芸術性にも重きが置かれ、人々に親しまれていった。

　本展では、美しい花々を描いた18世紀の優れたボタニカルアートが集結。また、ハノーヴァー朝ジョージ3世の妃で、芸術と科学を保護しキューガーデンの発展に寄与したシャーロット王妃にスポットを当て、王妃が愛したウェッジウッドの陶磁器「クイーンズウェア」を展示する。

　さらに当時の建築や装飾における主流のデザインであったジョージアン様式の部屋を部分的に再現。ボタニカルアートを生活に取り入れた人々の暮らしぶりを紹介する。