EXHIBITIONS

生島国宜「さっぱりした多様性」

生島国宜 痩せたる犬の腹を肥やせよ 2019

 生島国宜(いくしま・くによし)は1980年福岡県生まれ。2003年に武蔵野美術大学油絵学科を卒業後、出身の福岡を拠点に、絵画をはじめ、パフォーマンスやインスタレーションなどを発表している。若手画家の登竜門「VOCA展」(上野の森美術館、2020)に出品するなど、活躍が期待されている作家のひとりだ。

 生島はこれまで10年以上、主に人物像をモチーフに絵画を制作。インターネットや本から無作為に選んだ、作家自身に無関係でリアリティのない人物写真を絵画化することで、人間の存在そのものの表現に試行錯誤を重ねてきた。近年は、墨や蝋など新しい素材に取り組み、ときには表現を組み合わせ、横断しながら、描くモチーフも身近な知人や友人・風景・抽象へと広がりを見せている。

 本展では様々な技法を駆使し、表現に深みの増した生島の新作を含む絵画約30点を紹介。展覧会タイトルの「さっぱりした多様性」には、「目の前にいま見えるものが世界のすべてで、そのなかではどんなふうに遊んでやろうかという気持ちで日々を過ごしている」と語る生島の、近年の作品制作に対する態度の変化が現れている。