EXHIBITIONS

三島喜美代展

2020.03.14 - 07.05

Newspaper 97 - B & C, aluminum alloy, 1996–199 © Kimiyo Mishima Courtesy of MEM

© Kimiyo Mishima Courtesy of MEM

© Kimiyo Mishima Courtesy of MEM

 陶で制作された精巧な新聞やみかん箱などの作品や、様々な工業素材を使ったインスタレーションで知られる美術家・三島喜美代の個展が開催される。

 三島は1932年大阪府生まれ。高校卒業後より、独立美術協会主催の独立展に油彩を出品。具体美術協会の吉原治良に師事した画家・三島茂司との出会いと影響があり、当初の具象画から抽象、そして実験的なコラージュに制作を移行していった。50〜60年代は雑誌や新聞のコラージュに加え、シルクスクリーンではサンドロ・ボッティチェッリの《ヴィーナスの誕生》や当時の雑誌、新聞の紙面をキャンバス上に刷る実験的な絵画を継続的に発表した。

 60年代末頃から絵画以外の技法を模索。その間、キャンバスにコラージュするために集めていた新聞がアトリエの床にまるめられ転がっているのを目にし、陶で新聞をつくることを思い立つ。71年に日本陶芸展の前衛部門にて、まるめた新聞紙を再現した陶の彫刻を初めて出品した。
74年には、当時国内外の現代美術を積極的に紹介した南画廊にて個展を開催。きゅうり、ピーマン、サンキストレモンの段ボール箱や、新聞紙を陶で制作した彫刻の展示が反響を呼び、朝日新聞、毎日新聞の展覧会評に掲載された。

 86〜87年にかけて、ロックフェラー財団の奨学金によりニューヨークに滞在。帰国後は、岐阜県土岐市にも仕事場を設け、等身大の電柱や、積み重ねる、あるいはまるめた新聞を大きいスケールの陶の作品にしたものなどを画廊や美術館で発表し、高度に産業化された社会が生み出す膨大な製品、日用品と情報媒体が生み出す「ゴミ」、そして処理能力の限界からそれに飲み込まれつつある人間社会のあり方、その結果としての環境破壊と生態系への影響に目を向けてきた。

 本展では、三島が⻑年アトリエに寝かせていた産業廃棄物や、それらに実験的な加工を繰り返して生まれた素材を組み合わせた新作のインスタレーションを中心に、アルミニウムで制作した新聞の彫刻なども紹介する。

※MEMは6月6日より再開し、本展の会期を7月5日まで延長(当初の会期は3月14日〜4月12日)。当面のあいだ営業時間を短縮してのオープン。来場にあたっての注意事項および最新情報は公式ウェブサイトにて案内。