EXHIBITIONS

花森安治の仕事 デザインする手、編集長の眼

2017.09.02 - 10.15

『美しい暮しの手帖』1世紀1号 表紙原画 1948.9 世田谷美術館蔵

『美しい暮しの手帖』1世紀1号 表紙原画 1948.9 世田谷美術館蔵

『美しい暮しの手帖』1世紀19号表紙原画 1953.3 世田谷美術館蔵

『暮しの手帖』1世紀77号 1964.12 暮しの手帖社蔵

『暮しの手帖』 1世紀99号 中吊り広告 デザイン=花森安治 1969.2 世田谷美術館蔵

 終戦まもない1948年、NHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』の主人公のモチーフとなった大橋鎭子(しずこ)とともに、生活家庭雑誌『美しい暮しの手帖』(のちの『暮しの手帖』)を創刊した花森安治(1911-1978)。「衣・食・住」を基本にすえた同誌では、もののない時代には、工夫とアイデアによる豊かな暮しを提案、電化製品が普及した高度成長期には「日用品の商品テスト」を実施。さらに、食品添加物や公害問題が叫ばれた70年代には、社会の矛盾を鋭くえぐる批評を誌面で展開し、ペンで権力に挑んだ。

 30年間にわたり一切広告を入れず、発行100万部に迫るまでに成長した『暮しの手帖』を率いて、表紙画やカット、誌面レイアウト、広告デザインなど、取材や執筆はもとより、雑誌の制作から宣伝まで、すべてを手がけたのが編集長・花森安治だった。

 本展では、表紙原画をはじめとする約740点の作品・資料を展示し、戦後日本の出版文化に計り知れない影響を与えた『暮しの手帖』が庶民に向けて発信したメッセージに改めて耳を傾ける。また戦時中の大政翼賛会での仕事にも着目しつつ、花森が全身全霊をかけて打ち込んだ出版活動を、雑誌を超えた「運動」としてとらえ、その多彩な仕事を紹介する。