EXHIBITIONS

生誕140年記念 背く画家 津田青楓とあゆむ明治・大正・昭和

2020.02.21 - 04.12

津田青楓『うづら衣』(山田芸艸堂)より 1903 スコット・ジョンソン蔵

津田青楓『うづら衣』(山田芸艸堂)より 1903 スコット・ジョンソン蔵

津田青楓 婦人と金絲雀鳥 1920 東京国立近代美術館蔵

津田青楓 薔薇鶏之図 1917 笛吹市青楓美術館蔵

津田青楓(装幀) 夏目漱石『道草』(岩波書店) 1915 県立神奈川近代文学館寄託

 津田青楓(つだ・せいふう)は、明治から昭和にかけて活動した画家。文豪・夏目漱石に愛され、その本の装幀を数多く手がけたことでも知られている。

 1880年、京都市に生まれた津田は、生活の糧として96年に図案制作を始めたことから、画家人生の第一歩を踏み出した。その後は、歴史画家の谷口香嶠に師事して日本画を学び、関西美術院では浅井忠らにデッサンを学んだ。07年には安井曾太郎とともに渡仏し、アカデミー・ジュリアンで修行。帰国後の14年に二科会の創立メンバーとなるなど活躍し、後に洋画界を離れてからは、文人画風ののびやかで滋味豊かな作品は描いた。

 また、写生に基づく創造的な図案、随筆や画論など多岐にわたる文筆活動、加えて歌人・良寛の研究とその成果とも言える書作品など旺盛な制作活動を展開。長生でもあった青楓は、日露戦争での凄惨な体験を文芸雑誌『白樺』に寄稿し、昭和初頭には二科展に社会思想を背景とした作品を発表するなど自由を求めて時代に対峙し続けた。このような点から青楓の作品は、その時代を知るための歴史資料としての側面も持ち合わせている。

 本展では、これまで包括的に紹介されることのなかった青楓の画業を回顧。青楓がもっとも影響を受けた、漱石、経済学者の河上肇、これに私淑した良寛の3人を軸に、作品や関連資料約250点を通して、明治・大正・昭和の時代を生きた青楓の生涯を振り返る。