EXHIBITIONS

絹谷幸二の世界 -富士山を中心に-

2020.01.25 - 03.15

絹谷幸二 蒼天富嶽龍宝図 2008 © Kinutani Koji

絹谷幸二 雲上飛龍旭日不二 2018 © Kinutani Koji

 絹谷幸二はアフレスコ(フレスコ画)の技法を用いた、色彩豊かでエネルギーに満ち溢れた作品で知られる画家。1943年奈良県に生まれた絹谷は、66年に東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻を卒業後、同大学院で壁画を専攻し、アフレスコ(フレスコ画)の研究に邁進。71年には、イタリアへ留学してヴェネツィア・アカデミアに入学し、画家ブルーノ・サエッティのもとで学んだ。

 帰国後は、《アンセルモ氏の肖像》で画家の登竜門と言われた安井賞を当時の最年少記録で受賞。アフレスコ技法による色彩豊かな画面、そして劇画の要素を絵画表現へ取り込んだ、エネルギーに満ちた独自の画風を確立した。

 絹谷の画題は、人物、風景、静物に現代の時事や歴史、交友関係といった事象を絡ませるなど多彩で、そのなかでも少年時代に描いた富士山は制作の原点である特別なもの。「自然という作家が生み出した巨大な造形物、自然の意志によって生み出されたもの」として絹谷は富士山を敬愛し、地球の命の営み、その上で暮らす人間の営みに寄せて、これまで数多くの富士を描いてきた。

 本展では、日本人として親しみ深い富士山との関わりを通して、絹谷が発してきた様々なメッセージを読み解きながら、その作品世界の魅力を紹介する。