EXHIBITIONS

ルオーとシャガール

―めくるめく挿絵本の旅へ―

 20世紀パリで活躍した画家ジョルジュ・ルオーとマルク・シャガールが、挿絵本のために制作した版画を紹介する小企画が開催されている。

 ルオーは、聖書や文学作品、市井の貧しい人々をテーマとした画家。カトリックの信仰に根ざしたルオーの作品は、力強く重厚なマチエールが特徴で、内省的な雰囲気を帯びている。いっぽう、帝政ロシア領ヴィテブスク(現・ベラルーシ)出身のシャガールは、外国人画家としてのアイデンティティを感じさせる作品を制作。作中にはしばしば故郷の風景が描かれ、ときにはイディッシュ語(東欧のユダヤ人が使用する言語)の慣用表現もひそかに取り入れられている。

 まったく異なる境遇ながら、ともに版画では、心のなかにあった世界を表現したルオーとシャガール。本展では、シャガールが初めて版画技法で手がけた挿絵本『死せる魂』と、ルオーが華やかな舞台の裏にある悲哀を表現した『流れる星のサーカス』を中心に、約40点の挿絵を展示する。