ミュシャと日本、日本とオルリク

　チェコ出身の作家、アルフォンス・ミュシャとエミール・オルリク。本展では、2人の作品を通して、芸術分野における東西交流の軌跡をたどる。

　19世紀末のヨーロッパではジャポニスムと呼ばれる日本文化への熱狂が芸術界を席巻し、ミュシャとオルリクもその影響を受けた。ミュシャは、ジャポニスムに湧く世紀末のパリで、甘美な女性像のポスターを制作し人々を魅了。その評判は日本の作家たちに伝わった。そして版画家のオルリクは、ジャポニスムの潮流にふれて日本への憧れを募らせ、1900年から翌年にかけて訪日。浮世絵版画や日本画の技法を習うにとどまらず、日本の美術界と交流を持った。

　いっぽう1900年頃の日本では、藤島武二らがヨーロッパからの影響を受け、ジャポニスムの還流ともとらえられる現象がみられた。

　本展ではグラフィックを中心に展開された東西交流に注目。背景としてのチェコのジャポニスムも加えて紹介するほか、明治・大正期のグラフィック作品などをあわせて展示する。