EXHIBITIONS

クリストファー・ドレッサーと正倉院宝物

2019.11.16 - 2020.01.26

木画紫檀双六局 昭和時代 正倉院宝物模造品 奈良国立博物館蔵

黄金瑠璃鈿背十二稜鏡 1932(昭和7)年 正倉院宝物模造品 奈良女子大学蔵

クリストファー・ドレッサー 色絵椿文龍花瓶 1886 郡山市立美術館蔵

クリストファー・ドレッサー トースト・ラック(青海波) 1879-80 郡山市立美術館蔵

クリストファー・ドレッサー Photo by permission of the Linnean Society of London

 クリストファー・ドレッサー(1834-1904)はモダン・デザインの先駆者として位置づけられるイギリスの装飾デザイナー。1876(明治9)年に日本を訪れたドレッサーは、正倉院の宝物を調査し大きな感銘を受けた。

 当初の来日の目的は、イギリスから日本政府に対して贈られた約300点の寄贈品を手渡すこと。大久保利通などの政府高官と交流したドレッサーは政府の顧問となり、およそ2ヶ月におよぶ日本国内の視察の旅に出た。そしてその途中で奈良に足を運び、正倉院の建物に入ることを許された「初めての西洋人」となった。

 世界の美術工芸品について豊富な知識を持つドレッサーは、正倉院宝物の美術的価値の高さとその保存状態の良さに驚き、それまで日本人のあいだではほとんど知られていなかった、宝物の貴重さとその価値を伝えた。

 本展は、ドレッサーの来日の意義と、明治日本の殖産産業と文化財保護政策に影響を与えたドレッサーの業績に焦点を当てる初の試み。ドレッサーがデザインした工芸品、明治以降に制作された正倉院宝物の模造復元品、そして明治初期の輸出工芸品など約140点を展示するほか、郡山市で出土した重要文化財《二彩浄瓶》(奈良時代)も10年ぶりに公開する。