EXHIBITIONS

飯沼珠実 個展「Japan in der DDR - 東ドイツにみつけた三軒の日本の家/二度消された記憶」

2019.11.09 - 12.14

飯沼珠実 Unter den Linden, Mitte 「Japan in der DDR - 東ドイツにみつけた三軒の日本の家」より 2016 © Tamami Iinuma Courtesy of KANA KAWANISHI GALLERY

飯沼珠実 Unter den Linden, Mitte 「Japan in der DDR - 東ドイツにみつけた三軒の日本の家」より 2016 © Tamami Iinuma Courtesy of KANA KAWANISHI GALLERY

飯沼珠実 Behren Straße, Mitte 「Japan in der DDR - 東ドイツにみつけた三軒の日本の家」より 2016 © Tamami Iinuma Courtesy of KANA KAWANISHI GALLERY

飯沼珠実 Behren Straße, Mitte 「Japan in der DDR - 東ドイツにみつけた三軒の日本の家」より 2016 © Tamami Iinuma Courtesy of KANA KAWANISHI GALLERY

 飯沼珠実は1983年東京都生まれ、2018年東京藝術大学大学院博士後期課程修了。東京、ドイツ・ライプツィヒと、フランス・パリの3都市を拠点に活動し、自身の身体を通して、建築、写真、出版を論理的に構築しながら発表を行ってきた。

 本展は、東ドイツで日本人が建設した、3都市にまたがる3軒のホテルを丹念にリサーチし、5つの章にまとめ上げたプロジェクト『Japan in der DDR - 東ドイツにみつけた三軒の日本の家』の出版記念展として開催。その第4章にあたる「二度消された記憶」に焦点を当てる。

 同プロジェクトは、飯沼がライプツィヒ、ドレスデン、ベルリンの各都市に、日本の鹿島建設が受注したホテルがあることを知り始まった。そして飯沼は、様々な文献資料を調査していく過程で、建設事務所が空巣被害に遭い、「ドイツマルク現金」と35ミリフィルムカメラの中に入っていた「フィルム」が盗まれ、カメラ本体はこじあけられた金庫内に残されていたことをつきとめた。

 この奇妙な出来事に着想を得た飯沼は、自身も35ミリフィルムカメラを手にし、グランドホテル・ベルリン界隈を撮影。帰国後に現像しようとするも、機械の整備不良のためにフィルムがダメージを受け、イメージが白く消えてしまうという出来事に遭遇した。

 1979年の東独の空巣事件、そして2016年の東京の現像所の事故。本展では、二度に渡って消されてしまった2つの記憶の痕跡を手繰りよせる。