香月恵介個展「Hope’s harbinger」

　ディスプレイの発光を絵具で再現した「ピクセルペインティング」を手がけるアーティスト・香月恵介の個展が開催中だ。

　香月は1991年福岡県生まれ、2016東京造形大学大学院造形研究科美術専攻領域修了。ディスプレイの発光を絵具に置き換えたピクセルペインティングや、照明の当てかたによって様々に表情を変える作品など、光をテーマとした作品を発表してきた。この1年間は光の画家、ウィリアム・ターナーの作品を手がかりに制作を行い、ディスプレイによる発光が浸透した現代における「光の先にある何か」を探求している。

　その実践を発展させた本展は、タブローだけでなく、照明による視覚体験を取り込んだインスタレーションや映像作品を交えて多角的に展開される。

　ギャラリー1階では、ターナーによるゲーテの哲学に基づく色彩論への回答として描かれた「光」と「闇」2対の絵画を背景に、新シリーズ「Lux」を展示。明るさの単位でもありラテン語の「光」を冠した同シリーズは、「RGB」の各色固有の光のイメージを描いたタブローで構成され、色彩と時間それぞれの重なりと揺らぎを見せる。

　このほか、色彩の情報をとらえ、風景画を描くプロセスをコンピュターシステムで再現した映像作品、ピクセルペインティングの対にある、色彩と像の不在を意図した「Gray（medium）」シリーズなどが並ぶ。