EXHIBITIONS

秋野不矩展

2019.10.05 - 12.01

秋野不矩 朝の祈り 1987 浜松市秋野不矩美術館蔵

 現代日本画を牽引した画家のひとり、秋野不矩(あきの・ふく)の回顧展が開催されている。

 秋野不矩は1908年、現在の静岡県浜松市に生まれた女性画家。30年から官展への人物画出品を経て、48年に日本画の革新を目指す美術団体「創造美術」(現・創画会)の結成に参加した。62年に現・タゴール国際大学(西ベンガル州・シャンチニケタン)の日本画客員教授としてインドに渡ると、その後生涯で14回インドに訪問し、インドの風景や人々を題材とした作品を創画展や個展などで発表。毎日芸術賞(1986)、日本芸術大賞(1993)、文化勲章受章(1999)と続けて受賞を果たし、戦後は絵本原画も精力的に制作した。

 インド特有の強烈な日差しや暑さ、雨季に一変する川の様子、そして力強く生きる人々を描いた秋野。その作品の根底には、伝統的な岩絵具の技術があり、また近代絵画としてのモダンで斬新な構成が見る者を魅了する。

 本展は、県内では11年ぶりとなる回顧展。インドに取材した代表作など50点を展示し、秋野のおおらかで気高い画業を紹介する。