EXHIBITIONS

篠崎裕美子「SAMSARA」

2019.11.08 - 12.21

篠崎裕美子 再化石 2019 Photo by Satoshi Nagano

 篠崎裕美子は1987年福岡県生まれ、2011年に大阪芸術大学大学院修士課程を修了した陶芸家。陶やガラスなど半永久的な素材をとした陶芸作品に、インターネットに氾濫しては消滅するポルノグラフィやアニメーションのイメージ、生物やウィルス、細胞、また人間の活動によって絶滅に追いやられた自然物を取り込むことで、それらが「存在していた」という証を打ち立て、永続的な「生命」をかたちづくってきた。キッチュな作風のなかに現代社会が抱える問題や現象を表したその世界観は、陶芸のジャンルを越えた現代表現として高く評価されている。

 近年の個展に「Red Data」(SNOW Contemporary、東京、2017)。展覧会に、「Red Bull Music Academy Tokyo」(Red Bull 本社、東京、2014)、「現代工芸への視点 装飾の力」(東京国立近代美術館工芸館、東京、2009)など、美術館やギャラリー、オフィスや百貨店など様々な会場で展示を行ってきた。

 本展では、本来時間とともに商品価値が消滅する大量生産の日用品が、リサイクルショップでは過剰な価値づけで販売されている点に着目して制作された新作などを発表。篠崎の大量消費社会への視点や、陶芸作家として日用品と芸術作品との境界線を意識した挑戦的な姿勢を感じ取ることができるだろう。