EXHIBITIONS

鉄道芸術祭vol.9

都市の身体~外から眺める私たちの輪郭、遠くから聞こえてくる私の声~

2019.10.26 - 12.29

小沢裕子 SPEAKERS 言葉の乗り物になった私たちが、そのとき身体で目撃すること 2018 ワークショップ 撮影=佐藤基 画像提供=トーキョーアーツアンドスペース

小沢裕子 BLUE WAVES 2016 映像 3:57

ジョンペット・クスウィダナント The Contingent #5 2012 © Jompet Kuswidananto Courtesy of Nanzuka

ジョンペット・クスウィダナント Words and Possible Movements 2013 Photo courtesy of Jompet Kuswidananto

武田晋一 obstacle 2018 exhibition view(first floor)

武田晋一 from my house to Pantalooon(18/2 2018) 2018

 アートエリアB1が開催する「鉄道芸術祭」は2010年にスタートし、「鉄道」の文化や歴史、その創造性に着目し、駅コンコースに位置するスペースの場所性を活かした独創的な企画を毎年実施してきた。9回目となる今回は、昨年に続いて「都市計画」をテーマに、都市と身体の関係性に焦点を当てる。

 都市形成の要である鉄道。人々の日常生活や移動環境は大きく向上させたいっぽうで、時刻表による厳格な時間の概念や電車内でのマナーといった社会規範によって、人々の振る舞いを規定・規制することにもなり、私たちの身体性にも深く関係している。また、海外からの一時滞在者や外国人観光客、移民といった「内なる国際」のあり方も含め、都市の様相は刻々と変化している。

 本祭では、こうした都市における都市生活者の様々なふるまいと、それを生み出す身体を独自の視点でとらえ直す作品を展開。国内外3名のアーティスト、小沢裕子、ジョンペット・クスウィダナント、武田晋一が出展する。

 映像作家の小沢は、大阪で在留外国人が多いエリアや、文楽・浪曲といった言葉にまつわるリサーチをもとに、日本人または外国人都市生活者の言葉によるコミュニケーションのあり方などについて考察した新作を公開。インドネシア出身のクスウィダナントは、自国の複雑な成り立ちと歴史文化や現代社会への洞察に基づいて、群衆と個、姿なき声やメッセージなどに関するインスタレーションを発表する。そして武田は、フランス留学を経て移り住んだ奈良・東吉野村と本会場がある大阪・中之島との往き来きを通じて、都市と地方を結ぶ道や2つの場所の環境の違い、移動や運搬といった要素を踏まえて作品を構成する。
 
「都市の身体」の考察に基づく三者三様の表現を通じて、私たちの身体感覚を取り巻く社会の規制や制度といった問題、可能性を秘める人間の身体感覚の未来を思考する。