タイレル・ウィンストン「The World Is Filled...」

　ニューヨークを拠点にするアーティスト、タイレル・ウィンストンの日本初個展が開催される。

　ウィンストンは1985年生まれ。物理的にまたは社会的に廃棄され、忘れ去られてしまった物体を再構成した平面と立体作品を制作。その作品はまた、対照的な物体がそれぞれに持つ、希望と絶望、復活と再生、活力と無謀さといった象徴的な意味を対比させて関連性をあぶりだし、不条理さを際立たせるというテーマを併せ持つ。

　本展では、マンハッタンやブルックリンの街角に捨てられ、作家が拾い集めてきたバスケットボールなどのスポーツ用品を素材に、人々の生と死に対するとらえ方を掘り下げる作品を発表。かつてはスポーツの試合でチームや観客をひとつにする役割を担い、しかし、いまでは役に立たないがらくたとなったかたまりのなかに息づく命に焦点を合わせ、表面に残された使用感や傷から、一つひとつが宿す無数の物語を浮かび上がらせる。