EXHIBITIONS

スティーブン・ギル「Nobody Pavilion」

2019.08.24 - 09.29

スティーブン・ギル

 今年のアルル国際写真祭で写真集アワードを受賞したイギリス出身の写真家、スティーブン・ギルの個展が開催されている。

 ギルは1971年生まれ。これまで、ロンドン東部・ハックニーを舞台とした作品集を多数発表。ロンドンの空気感をイメージに取り入れるため、撮影した場所で見つけた蟻や植物、ガラス片などをカメラの中に入れて撮影する、現像の際、ネガを都市生活者の姿を投影したというエナジードリンクの中に浸すなど、実験的なアイデアとそれらを美しいイメージへと昇華させる姿勢が高い評価を得ている。

 2005年にはインディペンデント出版ブームに先駆け、出版社「Nobody Books(ノーバディ・ブックス)」を設立。本づくりにおいても型にはまらない自由な発想を持ち、世界各地のアートブックフェアなどへ積極的に参加している。

 本展では、荷物の紛失という不運に見舞われた「TOKYO ART BOOK FAIR 2019」のバビリオン「Nobody Pavilion」を再現展示。ギルの初期の代表作『Hackney Wick』、本を土の中に埋め、あえて泥まみれにした『Buried』や、トリニダード・ドバコへの旅の印象を表現するために全ページをシュレッダーにかけた『Trinidad 44 Photographs』、アルル国際写真祭のアワード受賞作品『The Pillar』など、これまで手がけた写真集が一堂に揃う。