EXHIBITIONS

田窪恭治個展「感覚細胞 2019」

2019.08.24 - 10.05

田窪恭治 感覚細胞2019

田窪恭治 カルピス(CALPIS) 1974

田窪恭治 1/25 scale第2次プラン 1989

 ポストもの派世代を代表するアーティスト、田窪恭治の個展が開催されている。

 田窪は1949年愛媛県生まれ。多摩美術大学絵画科在学中の71年、東京で初個展「イメージ裁判」を開催。自らの身体を用いたイベント性の強い作品を発表し、注目を浴びる。80年代には行為の痕跡や記憶をまとう廃材に金箔を施したオブジェを制作し、84年ヴェネチア・ビエンナーレにて日本館代表として出展。その後、鈴木了二、安齊重男との協働プロジェクト《絶対現場1987》に見られるような、住宅の解体プロセスを共有する作品を展開した。

 89年、フランスのノルマンディー地方に移住。そこで11年をかけて廃墟寸前だった礼拝堂の再生プロジェクトに取り組み、完成した「林檎の礼拝堂」は地元の人々に親しまれて、フランス政府から芸術文化勲章を授与した。帰国後も香川県の「琴平山再生計画」や聖心女子大学のモザイク壁画制作など、自身の死後も表現の現場として成長を続けるであろう「風景芸術」を生み出している。

 本展では、田窪の原点である70年代のオブジェ作品から、近年の壁画プロジェクト原画までを展観。「日常に宿っていた細胞が、特定の場所の環境や歴史と融合し姿形を変えながら再生され続ける」という考えで、「感覚細胞」と呼ぶものにしたがって表現を続けてきた田窪の歩みを振り返る。