EXHIBITIONS

内田ユイ|TYM344「ART FOLDA 00 スキップ・トレーサー」

MEDEL GALLERY SHU
2019.08.19 - 09.01
 セル画技術を引用した絵画作品を発表する美術作家の内田ユイと、「二値化絵画」と呼ぶ独自の手法で絵画を描く美術家のTYM344による2人展が開催される。

 内田ユイは、デジタル化によって現在消えつつあるセル画技術を美術作品へと展開し、透明な支持体で絵画を制作。描かれたイメージが持つ運動性/時間性の問題や、透明な支持体の特性を利用して「鑑賞者」と「支持体の向こう側」の境界線/距離の問題を投げかけている。第1回坂口恭平賞を受賞(2016)。

 TYM344は、自身が「二値化絵画」と呼ぶ手法を用いた絵画を制作。作家が掲げる「絵を描くこととは、決定された画像をつくること」に由来し、道路標識から秩父連山まであらゆる不動物を手本に、二値化された非・動画的な絵画を目指している。出版物に、『わかりたい!現代アート』(著=布施英利・画=TYM344、光文社知恵の森文庫)、『絵画検討会2016-記録と考察、はじめの発言』(アートダイバー社)などがある。

 本展タイトルにある「トレーサー(tracer)」は、跡をたどる、なぞるなどの意味を持つ「トレース(trace)」からとったもの。TYM344は、自作の半分以上は街の看板や標識などをサンプリングから画面を構成する点で、いっぽう内田ユイはアニメーションの仕組みを絵画に転用している点で「トレーサー」にあてはまる。

 本展では「スキップ・トレーサー(Skip Tracer)」をテーマに、何かを写し取る「行為」ではなく「行為主体」を問題とし、「Skip Tracer」とは誰を指すのか、答えを導く場となる(Skip Tracerには「行方をくらました人を追跡する者」や「借金取り」のような意味がある)。