EXHIBITIONS

小畠廣志 木に呼ばれる

小畠廣志 羽化 1971 撮影=山上洋平

 小畠廣志(こばたけ・ひろし)は吉祥寺ゆかりの彫刻家。東京藝術大学美術学部彫刻科(菊池一雄教室)に学んだ小畠は、1959年に初出品した二科展で特選を受賞。冴えた造形はその後も多方面から高く評価され、77年には第6回平櫛田中賞に選ばれた。その傍ら、東海大学、青山学院女子短期大学、美学校ほかで教鞭を取るなど後進育成にも注力。80年には美学校から独立してKOBATAKE彫刻工房を開校し、技術的教授にとどまらず、芸術家としての人間を育む独自のカリキュラムを展開した。

 木彫を基軸に、多くの作品で人間の姿を表した小畠。原木と向かいあうなかで掘り出したフォルムはたんに人間の形体美を具体化したものではなく、原木よりもはるかに大きな存在となることを目指して制作された。小畠は作品をつくるという行為が持つ社会的責任をつねに意識しながら、彫塑から鋳造まですべてを自らの手で行い、80年代からはリトグラフなどの版画表現にも取り組んだ。

 本展では木彫作品を中心に、ブロンズ鋳造による作品やリトグラフ、初公開となる資料など40点以上を展示し、小畠の仕事を紹介する。