EXHIBITIONS

イアン・ウィルソン

2017.06.30 - 07.22

イアン・ウィルソン Circle on the floor 1968 Courtesy of the artist and Jan Mot, Brussels

イアン・ウィルソン Circle on the floor 1968 Courtesy of the artist and Jan Mot, Brussels

 南アフリカ出身のイアン・ウィルソンは、20歳でアメリカに渡りアーティストとして活動を始め、コンセプチュアル・アーティストのジョセフ・コスース、ローレンス・ウィナー、ロバート・バリーらと並び、言語や概念を扱う作品で知られる。

 1968年、ニューヨークにあるローレンス・ウィナーのアトリエにて、抽象的な事柄について議論する作品《Discussions》を行う。議論の様子を写真に収めることも録音することも許さず、議論の日時と場所、そして対話者のサインが記された作品証明書だけを残すことで、非物質的に作品を制作、対話を通じて何かを生み出したいというウィルソンの作品構想が実現した。この《Discussions》はドクメンタ7(1982)、ポンピドゥーセンター (1981,2005)、横浜トリエンナーレ(2014)、札幌国際芸術祭(2014)を始め、各国の美術展会場、アトリエや家などで継続的に行われている。

 同年、ウィルソンは指示書に従い壁や床に円を描く《Circle on the floor》《Circle on the wall》を発表。言語によって組み立てられた指示と、描かれた円の関係に焦点を当てた。

 本展ではアーティストらや観客と行ってきた議論の作品証明書が並び、これまでの《Discussions》を一望に回顧できる。また、《Circle on the floor》《Circle on the wall》の指示書が展示され、実際に床と壁に円が描かれる。この展覧会を通し、ウィルソンと対話者によって生み出された議論の数々を感じとることができるだろう。