多和田有希・原田裕規 「家族系統樹」

「家族写真」に焦点を当てた、多和田有希と原田裕規による2人展が開催される。

　多和田は1978年静岡県生まれ。「人間の精神的治癒」をテーマとして、写真作品を中心に制作。写真を焼く、切る、表面を削るなどの儀式的なプロセスを経て、家族など自身にとって近しい存在や、ときに恐怖や嫌悪感を抱く対象の新たなイメージを表出させ、作品として昇華している。

　いっぽう原田は、社会の中で広く認知されながらも取るに足らないとされているものを通し、議論喚起する作品を発表。個展「心霊写真／ニュージャージー」では、古物商や回収業者から収集した数千枚のアノニマスな写真や家族アルバムに貼られた写真を「心霊写真」とカテゴリーし、「写真の山」として提示することで恐怖や不安感をつくり出し、近代社会の無意識をも露呈させた。最新作では、「ブルーシート」をテーマに制作を行っている。
　
　定義が曖昧でありながら、脈々と自己と他者をつなぐ身近な存在をとらえる「家族写真」。本展では「家族写真」という単位から写真を考察し、両者の作品に共通する物質性や差異を通して、写真の呪術性やその寄る辺なさを浮き彫りにする。