EXHIBITIONS

カンディダ・ヘーファー「The Large and The Small - The Still and The Moving」

カンディダ・ヘーファー Candida Höfer, La Salle Labrouste - La Bibliothèque de l'INHA Paris II 2017 © Candida Höfer/VG Bild-Kunst, Bonn; Courtesy of Yuka Tsuruno Gallery

 カンディダ・ヘーファーは、ドイツの現代写真を代表するアーティストのひとり。デュッセルドルフ美術アカデミーで映画を学んだのち、同アカデミーでべッヒャー夫妻に師事。アンドレアス・グルスキー、トーマス・シュトゥルート、トーマス・ルフらとともに、ベッヒャー派のひとりとして知られている。

 初期作品においてヘーファーはトルコ人移民労働者によってもたらされたドイツの都市の変化をとらえようと試み、そこから、建造環境が人に与える影響へと関心を広げた。以来、鉄道や駅、図書館、美術館、動物園、銀行、オペラハウスなど、文化的象徴となる建築から日常的な建物に至るまで、人物が存在しない空間を撮影。幅2メートルにもおよぶ大型写真作品として発表し、逆説的なイメージによってそこにいたはずの人物を思い起こさせ、人々の経験がいかに建築的な環境によって操作されているかを強調した。

 ヘーファーはまた、ルフとともに、ベッヒャー派のなかでもいち早くカラー写真を制作。図書館や宮殿、劇場など文化的象徴となる豪奢な建築物から日常的な建物に至るまで様々な公共的建築の室内空間を撮影した作品で世界的に注目を浴び、2003年にはヴェネチア・ビエンナーレのドイツ館代表に選ばれた。

 また、写真作品と並んで重要な発表方法として、スライドプロジェクションを使用。プロジェクション作品は、小型カメラを手にあらゆる場所を調査するなかで、建築物に映し出される変化や作家自身をとらえ、作中の多様な視点が空間に対する興味を示している。

 本展では、図書館や劇場など公共空間の室内を撮影したへーファーの代表的な作品とともに、近年取り組む抽象的な写真作品とプロジェクション作品を公開する。

 また会期初日には、本展のために来日するヘーファーを囲んでレセプションが開催される。