EXHIBITIONS

茶碗の中の宇宙

樂家一子相伝の芸術

2017.03.14 - 05.21

十五代 吉左衞門 焼貫黒樂茶碗 2012 東京国立近代美術館蔵

十五代 吉左衞門 焼貫黒樂茶碗 銘 暘谷 1989 個人蔵

初代 長次郎 黒樂茶碗 銘 大黒 16世紀 個人蔵 重要文化財

 今から約450年前、安土桃山時代を代表する京都の陶芸家、長次郎が生み出した「樂焼」がいまだかつてない規模で紹介される展覧会が開催される。

 茶人の千利休も愛用した樂茶碗は、一点一点、手捏ね(手捻り)によって制作されるシンプルな造形を特徴とし、秘伝や奥義を他には秘密にして漏らさない、一子相伝のスタイルで焼き継がれてきた。こうして450年にわたり15代続いてきた樂焼だが、誕生当初は「樂焼」ではなく「今焼」と呼ばれ、現代性を重んじられてきた。そのため、一子相伝の伝統と、それぞれの時代の現代性が共存する独自の佇まいも見どころだろう。

 ロサンゼルス、サンクトペテルブルク、モスクワの美術館で開催され約19万人を動員し、さらに充実度を増し凱旋する本展では、利休が愛した初代長次郎の黒樂茶碗《大黒》をはじめ、歴代の重要文化財のほとんどを一挙公開。本阿弥光悦の重要文化財をはじめ、よりすぐりの作品も出品される。