EXHIBITIONS

岩名泰岳「道標」

2019.05.18 - 06.15, 2019.06.18 - 07.13

岩名泰岳 道標 2019

 岩名泰岳は1987年三重県生まれ。2010年成安造形大学造形学部造形美術科洋画クラス卒業後に、アートアワードトーキョーで準グランプリを受賞。12年までドイツに滞在し、研究生としてデュッセルドルフ美術アカデミーで学んだ。現在は故郷・伊賀市島ヶ原を拠点に活動。15年には三重県立美術館でのグループ展「三重の新世代」に出品し、19年10月に青森県立美術館で開催される「青森EARTH 2019:いのち耕す場所」展への参加も予定している。

 岩名は2013年、文化芸術集団として島ヶ原村民芸術「蜜ノ木」を仲間とともに結成。初代代表を務め、都会の発想から生まれたアートを地方に移植する「アートによる地域興し」の類とは一線を画し、衰退していく集落に残って地元の歴史や風土、文化に深く根ざしながら、それぞれの分野で現実と戦っていく若者たちの創造的な行為自体をアートとして発信してきた。そのなかで生み出される岩名の作品は、故郷の自然や村の信仰をモチーフとし、多くが具象的な題材から出発してはいるものの、その抽象度は洗練されたものとなっている。

 本展は、会期を2回に分けて開催。前期は、過疎化の進行で牧歌的な農村共同体が解体された村で、岩名が仲間たちと建てた「蜜ノ木」の看板を題材とした作品のみで展示を構成し、後期では「蜜ノ木」が参加する村の古い祭り「修正会」の供物のひとつである「ナリバナ(山桜の幹や枝に餅を巻きつけたもの)」に着想を得た作品や新作を展示する。