EXHIBITIONS

伊奈英次「TWINSー都市と自然の相似形ー」

Photo © Eiji INA 東京都港区芝公園 2017 / 和歌山県東牟婁郡串本町橋杭橋杭岩 2012

Photo © Eiji INA 台東区花川戸 2016 / 岩手県宮古市田老 三王岩 2013

 伊奈英次は1957年名古屋市生まれ。84年、東京綜合写真専門学校研究科卒業。急成長するバブル前夜の東京を追った《In Tokyo》で鮮烈にデビューし、以来、一貫して8×10の大型カメラで都市を撮影してきた。87年には、在日米軍や日本各地のアンテナをとらえた《ZONE》で第4回東川賞新人作家賞を受賞。

 その後、産業廃棄物を物質的に俯瞰した「WASTE」など、社会に横たわる問題やタブーに接近した数々のテーマで作品を発表する。2009年の「Emperor of Japan」シリーズでは、7年の歳月をかけて天皇陵124代を全踏破。同年のさがみはら写真賞、カッセル写真集賞を受賞し、重厚な作風とその粘り強い姿勢は写真家だけでなく歴史家からも評価される。

 デビューから40年、伊奈は再び大型カメラで変貌する「平成」の東京を撮影。東京の風景を記録する過程で、日本各地の海岸で撮影を続けてきた「奇岩」の連作と都市の風景が双子のように相似することに気づかされた。

 本展は、デジタル・カラーで撮影された新作の「東京」と、各地の自然を対比したアナログ・モノクロームの組写真約20点を展示。過去作品の一部も合わせ、2020年を前に、伊奈がとらえた「東京」を見つめ直す。