EXHIBITIONS

伊藤彩&リチャード・ゴーマン「Sea Both Sides」

左から伊藤彩《Elephant man with fisher angel》(2019) © Aya Ito Courtesy of Tomio Koyama Gallery / Koyama Art Projects、リチャード・ゴーマン《Squeeze Orange》 2018 © Richard Gorman Image courtesy of the artist and Kerlin Gallery, Dublin

 独自のモチーフやプロセスで絵画を制作する伊藤彩と、アイルランドを代表する作家のひとり、リチャード・ゴーマンによる2人展が開催される。

 伊藤は1987年和歌山県出身。絵画制作において、ジオラマづくりから始まり、自身も作品世界の中に入り込んで、写真を何枚も撮りながら視覚的効果を吟味する「フォトドローイング」と呼ぶ手法をとる。2017年に参加した六甲ミーツ・アートでは、ペインティングと、発泡スチロールに和紙を貼ってつくった巨大な野菜や手などの立体作品で構成されたインスタレーションが好評を博した。

 ゴーマンは1946年ダブリン出身。面と線による単純なかたちと純粋な色彩の絵画で、色やかたち、面、空間の関係性を追求する作品の数々は、欧米で高い評価を得ている。日本との関わりは古く、90年代初めに福井県今立町(現・越前市今立郡)で、岩野平三郎製紙所の越前和紙と出会ってからは、和紙を使用した作品も制作。近年では、2014年にエルメスのカレ・スカーフのデザインにアーティストとして採用され、15年には、新宿伊勢丹のエルメスのショーウィンドウデザインも担当した。

 2人がゴーマンの地元で出会ったことから始まった本企画。ゴーマンは伊藤の作品を次のように述べている。「彼女は他のアジアの若い作家の中でも、卓越した色彩感覚をもっているアーティストだ。私はとくに彼女の大きな作品を気に入っている」。

 本展では、ゴーマンの作品からインスピレーションを受けた伊藤が、その絵に答えるように構成した油彩と立体作品を制作。2人による新作を発表する。