EXHIBITIONS

project N 74

大和美緒

大和美緒 REPETITION RED(dot) 1 2014 個人蔵

大和美緒 REPETITION RED(dot)15 2016 株式会社グランマーブル蔵 Photo by MUGYUDA Hyogo

 注目の若手ペインターを迎える「project N」。第74回では、点や曲線などを反復し、画面を覆い尽くすように制作を行う、大和美緒を紹介する。

 大和は1990年滋賀県生まれ。2013年京都造形芸術大学芸術学部美術工芸学科洋画コース総合造形卒業、15年京都造形芸術大学大学院芸術研究科芸術表現専攻修士課程総合造形領域修了。アートアワードトーキョー丸の内 高橋明也賞(2013)、第2回CAF賞 山口裕美賞(2015)、アートアワードトーキョー丸の内 小山登美夫賞(2015)を受賞した。

 制作において、大和は一定のルールを敷いている。「REPETITION RED(dot)」シリーズでは、まず画面の縁一列に、赤い点を等間隔に打ち、次にその内側に平行してもう一列、まったく同じ点の連なりを繰り返し打っていく。膨大な手作業ゆえに生じるずれや揺らぎは否定せず、流れとして受け入れた画面は、無秩序に見えてぎりぎりの秩序を保ちながら、ひとつの構造をなしている。

 大和のドット作品は紙やキャンバスにとどまらず、展示空間の壁面や窓ガラスにも展開。作家自身、ドットの果てしない広がりについては、意図したイメージというよりも、一定のルールに基づいた作業の末に自ずと立ち現れた、作業の結果であるとしている。本展では、このユニークな試みが、今後どのように絵画を開拓していくのかに注目する。