EXHIBITIONS

大西伸明「投影 / 影取 Projection / Extraction」

大西伸明 Untitled edge 2019

 大西伸明は1972年岡山県生まれ、98年京都市立芸術大学大学院美術研究科版画修了。2013~14年に、ベルリン芸術大学ゲストスチューデントとしてイケムラレイコ教室に在籍した。

 大西は、版画技法を応用した独自の手法で「もの」の本質と見え方を考察し、現実とそのイメージの関係を作品化してきた。複製とリアルを前提に、2つの「あわい」にある不確かさを可視化する作業は、実在を忠実に再現した作品シリーズ「Infinity Gray」から、フェイクとリアルの並置した「Lovers Lovers」、そして型取りされた裏面を鏡面にした「Vacuum」へと移行。これらのシリーズを通して、本物と見紛う表面とそれを裏切る複数生産可能性の問いかけから、実在しない表裏に挟まれた極薄の膜まで、表現の多様性を深めてきた。

 ギャラリーあしやシューレでの3年ぶりの個展となる本展では、ゼロの時点から生み出される「ヒビ」に焦点を当て、実態のない影を採取した《影取 Extraction》を展示。初の試みとして、天然樹脂の漆を塗布し、「虚」の存在を可視化する。
 
 本展の会期最終日4月27日には、平成という30年間を振り返り、時代と美術の関わりとこれからの美術を、出原均(兵庫県立美術館学芸員)とともに語るトークイベントを行う。

 また、大阪のギャラリーノマルにおいて、同じタイトルを冠した個展を同時開催。ギャラリーノマルでは、 裏抜けするスループリンティング技法を使った《投影 Projection》を発表する。