EXHIBITIONS

ベルギー奇想の系譜 ボスからマグリット、ヤン・ファーブルまで

ヒエロニムス・ボス工房 トゥヌグダルスの幻視 1490-1500頃 ラサロ・ガルディアーノ財団 © Fundación Lázaro Galdiano

ヒエロニムス・ボス工房 トゥヌグダルスの幻視 1490-1500頃 ラサロ・ガルディアーノ財団 © Fundación Lázaro Galdiano

ジャン・デルヴィル レテ河の水を飲むダンテ 1919 姫路市立美術館

ジェームズ・アンソール オルガンに向かうアンソール 1933 メナード美術館

フェリシアン・ロップス(原画) アルベール・ベルトラン(彫版) 娼婦政治家 1896 フェリシアン・ロップス美術館

 現在のベルギーとその周辺地域では、中世末期からの写実主義の伝統の上に、空想でしかありえない事物を視覚化した絵画が発展した。しかし18世紀、自然科学の発達と啓蒙思想がヨーロッパを席巻するなか、不可解なものは解明されてゆき、心の闇に光が当てられるようになる。

 かつての幻想美術の伝統が引き継がれるのは、産業革命後の19世紀、人間疎外、逃避願望を背景とした象徴主義においてだった。画家たちは夢や無意識の世界にも価値を見出し、今日もこの地域の芸術に強い個性と独自性を与え続けている。

 本展では、この地域において幻想的な世界を作り出した一連の流れ、そしておよそ500年にわたる「奇想」ともいえる系譜を、ボス派やブリューゲルなどの15・16世紀のフランドル絵画に始まり、象徴派のクノップフ、アンソール、シュルレアリストのマグリット、デルヴォー、そして現代のヤン・ファーブルまで、約120点の国内外の優れたコレクションによってたどる。