チェコの現代糸あやつり人形とアート・トイ

　「人形劇は文化の命綱」とまで言われるほど、人形劇と深い結びつきのあるチェコ。同国はかつてオーストリアのハプスブルク家の支配下にあり、ドイツ語の使用が強制されたなか、人形劇は民衆の娯楽であったために危険視されることなくチェコ語の禁止を免れた。こうして、チェコ語を守るために人形劇が意欲的に上演されたと伝えられている。

　また、チェコには人形を専門に学べる世界初の国立大学機関があり、各都市には人形劇専門の劇場が点在。現在でも、祭礼や地域のイベントではさかんに人形劇が上演され、人形づくりのワークショップもたびたび開かれるなど、伝統的な人形劇を国の文化として継承している。さらに、チェコならではの展開として、人形を使ったアート作品も生み出されている。

　本展では、世界の玩具や遊具の研究者である春日明夫氏のコレクションを通して、現代チェコの人形文化の一端を紹介。糸あやつり人形やハンドパペットを手がけ、人形作家として世界的に活躍する佐久間奏多、人形劇の舞台美術家で劇用の人形の制作も行う林由未、暖かみのある糸あやつり人形を生み出すバーラ・フベナー、ユニークなかたちと鮮やかな色彩のアート・トイを発表するミロスラフ・トレイトナルの4名の作品と、コレクション以外の参考作品も交えた約100点が展示される。