EXHIBITIONS

生誕120年 宮之原謙ー清新なる陶芸

2018.12.26 - 2019.02.11

宮之原謙 象嵌磁泰山木大皿 1976 鹿児島市立美術館蔵

 宮之原謙は、現代的な感覚を反映させた清新な作風で日本の陶芸界に足跡を残した、鹿児島市出身の陶芸家。早稲田大学建築学科を病のため中退した後、近代陶芸の巨匠・二代宮川香山に師事し、1927年には二代宮川、板谷波山らを顧問とする「東陶会」の結成に参加。作家としての創作活動や、芸術性の追究といった近代陶芸の姿勢を継承した。

 個性豊かな図案と多様な表現技法によってかたちづくられた宮之原の作品。戦前は彫文や象嵌などの精巧な技術を駆使した構築的な作陶を行い、戦後は「彩盛磁(さいもりじ)」と呼ばれる、優美な色彩と艶消しの釉薬による柔らかな表現を生み出し、新境地を切り拓いた。

 宮之原の生誕120年の節目に開催される本展は、その活動の変遷をたどるもの。鹿児島市立美術館の所蔵品を中心に、アール・デコの技法に影響を受けた幾何学的な意匠や、自然界の花や鳥、建築物や宇宙、スポーツなど独特のモチーフも登場し、器形、表現技法、図案が一体となった宮之原作品の魅力を紹介する。