EXHIBITIONS

播磨みどり

Year Without a Summer

2017.06.30 - 08.05

播磨みどり Year Without a Summer 2017

播磨みどり Year Without a Summer 2017

播磨みどり Year Without a Summer 2017

播磨みどり Year Without a Summer 2017

播磨みどり Year Without a Summer 2017

播磨みどり Year Without a Summer 2017

 2001年に渡米、サンフランシスコを経て2005年からはニューヨークに拠点を移し作品制作を続ける播磨みどり。

 播磨の作品では、雑誌や新聞など既存のメディアに溢れるイメージを抽出してアーカイヴァルペーパーなどにゼロックスコピーし、それらを張子状に組み合わせて彫刻を制作する手法がよく知られている。

 本展のタイトル「Year Without a Summer」とは約200年前の1816年に北ヨーロッパや北米を中心に実際に起こった、夏のない、異常気象の年のことを指す。その年の7月、8月には北米の川で凍結が見られ農作物が壊滅的な被害を受けたと記録され、原因は前年、遠く離れたインドネシアで起きた火山噴火だと言われている。

 一方、展覧会のための新作は播磨が昨秋訪れたポーランドへの旅の経験をもとに構想された。本展では3体の人物像の彫刻作品と、彼らの持ち物と想像されるバッグや靴などを形取った彫刻作品、そしてポーランドから持ち帰ったもののフラグメンツで構成されるコラージュ作品が全体としてのインスタレーションを構成する形で展開。すでに過去のものとしてそこにある印刷物のイメージを物質化し、そのイメージを別の形で現前させることで「圧倒的にわからないもの」を立ち上げる。

 その作業はアーティストの個人的な体験を大きな物語と接続させ、現代の地球上の理解不能な巨大な力の姿とその行く先、そしてその中で揺れ動き問い続ける個人の思念を丹念に描きだす挑戦でもある。