EXHIBITIONS

The BAR(The Backers Foundation and AIT Residence Programme ) Vol.10 Shaping Voices, Silent Skies

ミティ・ルアンクリタヤーとサラ・アブ アブダラによる新作展

ミティ・ルアンクリタヤー Imagining Flood 2011 Courtesy of the artist

ミティ・ルアンクリタヤー Imagining Flood 2011 Courtesy of the artist

 本展は、海外のアーティストを東京に招へいするバッカーズ・ファンデーションとNPO法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT/エイト]のアーティスト・イン・レジデンス・プログラム(The BAR)の10回目の成果展となり、本年はタイ出身のミティ・ルアンクリタヤーと、サウジアラビア出身のサラ・アブ アブダラが、日本未発表の作品に加え、東京で制作した新作を披露する。

 バンコクを拠点とするミティ・ルアンクリタヤーは、主に写真やインターネット上のイメージを用いて、タイで近年みられる急激な都市開発による環境の変化、また、そこに集う人々の姿と欲望、喧騒と静寂など、都市が見せるさまざまな表情に着目。代表的なシリーズのひとつである《Imagining Flood》(2011)は、バンコクが洪水による被害を受けた日の、暗く静粛な人間不在の都市を切り取ることで、幻想的な都市の異相と自然への畏怖を際立たせている。

 近年、シャルジャ・ビエンナーレ11(2013)などの国際展でも注目されるサウジアラビア出身のサラ・アブ アブダラは、絵画的な思考を取り入れながら、映像作品を中心に表現活動を行う若手アーティスト。映像作品《SAUDI AUTOMOBILE》(2012)には、アブ アブダラが、遺棄された車に無言のまま薄いピンクの塗料を施していく姿が映し出されている。「この切望的な行為のみが、私が車を所有できる唯一の方法なのです」と彼女が言うように、作品からは、女性が車を運転することが禁止されている同国の性規範への一つの眼差しが表現される。

 本展では、日本未発表の作品に加え、ルアンクリタヤーはバンコクにおける都市開発と東京、特に開発が進む渋谷の現在の姿を重ね合わせ、その裏に潜む環境汚染への危惧感にも言及する。アブ アブダラは、彼女がサウジアラビアで見ていた日本のアニメーションや漫画から構想した新作を発表する。