EXHIBITIONS

[山種美術館 広尾開館10周年記念特別展]生誕130年記念 奥村土牛

2019.02.02 - 03.31

奥村土牛 醍醐 昭和47(1972) 山種美術館蔵

奥村土牛 鳴門 昭和34(1959) 山種美術館蔵

奥村土牛 富士宮の富士 昭和57(1982) 山種美術館蔵

奥村土牛 兎 昭和22(1947)頃 山種美術館蔵

奥村土牛 枇杷と少女 昭和5(1930) 山種美術館蔵

 1966年、東京・日本橋兜町に開館し、2009年に広尾に移転した山種美術館の広尾開館10周年を記念する特別展第1弾として、生誕130年を迎える日本画家・奥村土牛に焦点を当てた展覧会が開催されている。

 同館の創立者・山﨑種二は、「絵は人柄である」という信念のもと、画家と直接関わり合う中で作品を蒐集。とくに土牛とは親しく、まだ無名だった研鑽時期の支援から約半世紀にわたり交流を続け、現在135点に及ぶ屈指の土牛コレクションを収めている。

 中国・唐の詩句「土牛石田を耕す」に由来する雅号で、地道に画業へ専心した土牛。画家志望であった父親のもとで10代から絵画に親しみ、その後、梶田半古と小林古径に師事して、38歳で院展初入選を果たした。遅咲きでありながら、展覧会に出品を重ねて40代半ばから名声を高め、101歳におよぶ生涯において、晩年まで制作に取り組んだ。土牛は、半古や古径から学んだ写生や画品を重視する姿勢を貫き、「絵を通して伝わってくるのは作者の人間性」という自らの言葉を体現するような作品を数多く生み出した。

 本展では、瀬戸内海の鳴門の渦潮を描いた《鳴門》や、古径を偲んで制作した《浄心》《醍醐》などの代表作をはじめ、活躍の場であった院展の出品作を中心に約60点を展示し、土牛の画業をたどる。(作品はいずれも山種美術館蔵)