ヒュー・スコット=ダグラス「Thank You Thank You Thank You Thank You Thank You Thank You」

　ニューヨークを拠点に活動する作家、ヒュー・スコット=ダグラス。自己言及的に、あるいは様々な外部の事象を対象に、ハイテクとアナログの手法を駆使しながら作品を生み出してきた。2016年の栃木県立美術館の個展では、自然と資本主義との関わりをテーマとしたシリーズを発表。この取り組みは、自然環境と背中合わせにあるイメージが持たれる都市の概念を参照しながら、コンセプチュアルなアプローチに基づいて継続的に展開されている。

　本展では、2つの新作シリーズ「Natural History」と「Forms of Nature」を中心に紹介。「Natural History」は、アメリカ自然史博物館（ニューヨーク）にある、野生動物のジオラマの外観をとらえたデジタル写真をもとにする絵画シリーズ、そして「Forms of Nature」は『ウォール・ストリート・ジャーナル (WSJ）』誌から抜き取ったイメージ群と、パウル・ヴォルフによる写真集『Forms of Life: Botanical Photo Studies』を組み合わせたコラージュ作品のシリーズだ。

　ともに、自然環境や将来に対する懸念を軽減・否定する集団的イマジネーションが存在する場で、人間が与えるインパクトについての現象をテーマとしている。