EXHIBITIONS

森堯之写真展 「朝鮮・1939年」

2018.11.27 - 12.25

R1460-8[横顔] 撮影=森堯之 

R1464-1[チマチョゴリ] 撮影=森堯之

『NIPPON』18号朝鮮号(国際報道工芸、1939年7月1日) 表紙写真=森堯之 表紙構成=高松甚次郎

 先端デザインと清新な写真で、日本を海外へ紹介する対外グラフ誌として、日本工房が1934年に創刊した『NIPPON』。39年に刊行された18号(朝鮮号)は、日本工房カメラマンとして現地へ出張撮影した森堯之(もり・たかゆき)の写真で構成されている。

 森は1915年、徳島県生まれ。34年に帝国美術学校西洋画科へ入学し、在学中に同級の浅原清隆らとグループ「表現」を結成。37年の第7回独立美術協会展で初入選するなど若き前衛画家として認められつつあった。卒業後は日本工房へカメラマンとして入社。『NIPPON』の取材や亀倉雄策の写真壁画《楽しい日本》のための撮影に携わる。

 日本工房では絵筆をカメラに変えて写真に勤しんだ森は、景福宮、朝鮮民族美術館や日本民藝館の展示作品、平壌の箕子陵、そして壺を頭に載せて運ぶ婦人や街頭を行く老人など民族衣装を着た人々を撮影。民俗を伝える誌面構成のための写真は端正に撮られ、森がカメラマンとして編集者の要望に応えていたことを物語っている。

 本展で展示される写真は、80年の時を経て日本工房関連ネガの中から見出されたもの。これまで知られていなかった森の仕事を紹介する初の展覧会となる。