オサム・ジェームス・中川「Eclipse : 蝕」

　アメリカ・ニューヨークで生まれ日本に育ち、再び渡米して1990年代からアーティストとしてのキャリアをスタートさせたオサム・ジェームス・中川。日本とアメリカ、両国にまたがる自身のアイデンティティを踏まえ、様々な作品を発表してきた。

　本展で展示される「Eclipse: 蝕」シリーズは、ドナルド・トランプの「アメリカ・ファースト」というスローガンを皮切りに、社会にネガティブで差別的な発言が蔓延したことをきっかけに制作。選挙キャンペーンによって、2つに分断されたアメリカを目の当たりにし、自身の視座でもある分断の「間」を視覚化する試みとなった。

　高いシャープネスと豊かな階調を表現できるピエゾグラフィーでプリントされた本シリーズは、ポジとネガの判別がつかない、不思議な視覚体験を鑑賞者にもたらす。