EXHIBITIONS

アートはサイエンス

HAKONIWA © daisy*

HAKONIWA © daisy*

鬼頭健吾 active galaxy 2015 群馬県立近代美術館 Photo by Shinya Kigure

荒木博志 Astroboy 1993 Galerie LIBRAIRIE 6 撮影=奥村純一 © Galleria AMICA

マルセル・デュシャン アネミック・シネマ 1925-26 Courtesy of Unseen-Cinema

 戦後、日本の産業・科学技術は急成長を遂げてきた。自動車や家電製品は、当時の人々に新しい技術として受け入れられ、広く普及。その後の約70年間でそれらは進歩し、現代ではコンピューターを利用した“最先端の科学技術”による様々な製品が身の回りに当然のように存在している。一方、科学の進歩に合わせ、私たちの生活も気付かないうちに変容、それに伴い美的感性もまた多様化しているといえるだろう。

 このたび注目するのは、“科学技術の発展によって新たに生まれる芸術表現”であり、それらと共に成長する未来だ。20世紀初頭から戦後の前衛の時代には、科学技術が実験的な試みとして芸術作品の中に登場。そして現代においては、コンセプチュアルな面から空想や理念を具現化するために最新テクノロジーが駆使されており、メディア・アートでもその進化を見てとることができる。ナム・ジュン・パイク(1932 - 2006)が開拓したビデオ・アートは、美術に「映像」という分野を生みだしました。以後、コンピューターグラフィックスの進化やパソコンの普及に伴い、かつて専門分野であったそれらはより身近なものとなった。

 近年、美術館や博物館での展覧会においても映像をはじめとする様々なメディアの導入がなされている。また、インタラクティブな要素を持つ作品の展示は、新感覚のアートとして常に話題を集めている。 今回の展示では、多様化する “現代美術”の新たな可能性を指し示すひとつの動向として、科学の発展を味方に付けたスタイルの展開を追い、芸術家が切り開こうとしている領域を紹介する。

<出品作家>
マルセル・デュシャン、ジョー・ジョーンズ、田中敦子、松田豐、鬼頭健吾、土佐尚子、四谷シモン、荒木博志、河口洋一郎、ナム・ジュン・パイク、西島治樹、Seiei Jack、ヤン・ヨンリァン、daisy*