EXHIBITIONS
小枝繁昭
Rika Syounen no Yume
私たちが暮らしの中で知っている花も、ほとんどなじみのない珍しい花も、小枝繁昭の手法にかかると驚くような別の顔、新たな一面を見せてくれる。見る側の人間が小さくなったように感じるほどクローズアップされた花たちが小枝の生み出す色彩と共演し、また競演する様は斬新で意外な展開の舞台を眺めているかのようだ。ペインティングと写真を融合させた独自の手法による「花-眼差しのあいだ-」というこのシリーズは、かの伊藤若冲の「花丸図」に魅了された作家が、2003年に開始し計100作品(100華)の制作に向けて継続中のプロジェクト。一見すると引き延ばした花の写真の上にダイナミックに絵の具をのせているように思われがちだが、実際は繊細な作業の連続である。
生花を前にし自分との間にガラス板を置き、そこへ花の色やかたち、大きさと呼応しながら水彩絵の具で描きこむ。その両者を照明のもと一度に撮影し、デジタルデータとして緻密な加工をしたのちに大型写真(ラムダプリント)として仕上げていく。生花もガラス上のペイントも残らないため、花と作家の手業がぴたりと響きあったその瞬間だけが永遠の像として封じ込められた作品なのだ。シリーズを始めて15年の歳月の中で途切れることなく続いてきた花との時間は、時に軽やかなダンスを踊るように、時に密やかな逢瀬のように重ねられ、今展への新作で90作目前まで達し、いよいよ円熟期に入ったところといえる。
会場にはシリーズ最新作10数点のほか、小動物を描いたアクリル画、素焼に岩絵具を用いた花や子犬をかたどったオブジェなど約30点を展示する。
生花を前にし自分との間にガラス板を置き、そこへ花の色やかたち、大きさと呼応しながら水彩絵の具で描きこむ。その両者を照明のもと一度に撮影し、デジタルデータとして緻密な加工をしたのちに大型写真(ラムダプリント)として仕上げていく。生花もガラス上のペイントも残らないため、花と作家の手業がぴたりと響きあったその瞬間だけが永遠の像として封じ込められた作品なのだ。シリーズを始めて15年の歳月の中で途切れることなく続いてきた花との時間は、時に軽やかなダンスを踊るように、時に密やかな逢瀬のように重ねられ、今展への新作で90作目前まで達し、いよいよ円熟期に入ったところといえる。
会場にはシリーズ最新作10数点のほか、小動物を描いたアクリル画、素焼に岩絵具を用いた花や子犬をかたどったオブジェなど約30点を展示する。


