EXHIBITIONS

長坂有希「カムイワッカへ、そして私たちの始まりへ」

2018.10.06 - 10.27

長坂有希「カムイワッカへ、そして私たちの始まりへ」より

長坂有希「カムイワッカへ、そして私たちの始まりへ」より

長坂有希「カムイワッカへ、そして私たちの始まりへ」より

長坂有希「カムイワッカへ、そして私たちの始まりへ」より

長坂有希「カムイワッカへ、そして私たちの始まりへ」より

長坂有希「カムイワッカへ、そして私たちの始まりへ」より

 自身が遭遇した事象の背景にある歴史や文化をリサーチし、現実と架空を行き来するような作品世界を表現するアーティスト・長坂有希。これまでの主な展覧会に「クアトロ・エレメントス」(ポルト市立美術館、2017)、「ワームホール・トラベル -ゆらぐ時空の旅-」(京都芸術センター、2016)、「マテリアルとメカニズム」(国際芸術センター青森、2014)など。

 2018年1月、長坂は偶然訪れた斜里で、知床半島にあるカムイワッカの滝のことを知る。かつて、そこに住んでいたアイヌの人々は、硫黄山から湧き出る滝のことを「神の水」として崇めるとともに、「魔の水」として恐れてもきたという。

 長坂は、カムイワッカという言葉が内包する表裏一体の精神性に惹かれて調査を開始。生命がいないと言い伝えられてきたこの滝には、実は生物が存在していることを発見する。神の水、そして魔の水の滝に棲むその生物見るべく、2018年3月、長坂はまだ雪で閉ざされている知床半島に分け入り、徒歩でカムイワッカの滝を目指した。

 本展ではこのリサーチに基づく、ストロマトライトの化石と生きた藻を使った彫刻、親愛な人に宛てた手紙の映像による作品を展開。人間の知覚を超越して存在するものや、人間の根本的な欲求や願いを表現すると同時に、美術や言葉の意義について問いかける。